東京センチュリーの株価情報

株価

(2022/5/12)

時価総額

自己資本比率

ROE

ROIC

4,700円

5,753億円

12.5%

0.7%

1.3%

PER(実績)

PER(予想)

PBR

配当利回り

EV/EBITDA

120.7倍

8.2倍

0.7倍

3.04%

 16.1倍

東京センチュリー(TC):2023年3月期通期決算結果

売上高1兆3,250億円前年同期比3.7%増
営業利益912億円同10.3%増
当期純利益48億円 ▲90.5%

4Q単独の決算結果は

売上高3,665億円前年同期比7.4%増
営業利益221億円同31.5%増
四半期純利益149億円同119.1%増

2023年3月期通期決算は売上、営業利益、経常利益は順調に増加した。しかし、連結子会社のACG(Aviation Capital Group)のロシアの航空会社向け機体の現存損失を458億円、当該融資・融資保証の貸倒損失290億円の合計748億円を「ロシア関連損失」として特別損失に計上した。これにより特別損益は損失が前期比695億円増加し706億円の損失となり、当期純損益は同▲90.5%の48億円となった。

4Q単独の決算は営業利益が前年同期比31.5%増の211億円、四半期純利益が同119.1%増の149億円と大幅な増益であった。

事業セグメント別の主な事業進捗

【国内リース事業分野】

カーボンクレジット付リースの取り扱いを開始した。カーボンクレジット付リースは、TC及びグループ会社が提供するリース・オートリース等に、J-クレジットをはじめとしたカーボンクレジットのオフセットサービスを付加したものであり、サービスを活用することで、生産設備・IT機器・車両等のリース物件の使用に伴い排出するCO2のオフセットが可能となる予定である。

JFEエンジニアリング株式会社と国内コーポレートPPA事業に係る太陽光発電事業会社「アーバンエナジーPV合同会社を設立し、協業を開始した。本協業では、新会社が太陽光発電設備の所有・発電事業を担い、PPA事業者へ電力を供給し、PPA事業者は電力需要先に対して再エネ電力の供給やO&M(保守・管理)サービスを提供る。新会社は、電力需要先の建物屋根上や土地に太陽光発電設備を設置し、PPA事業者を通して発電される電力を供給する。

【国内オート事業分野】

グループ会社である日本カーソリューションズ株式会社(NCS)とGO株式会社(旧、株式会社Mobility Technologies)は、GO株式会社が提供する次世代AIドラレコサービス『DRIVE CHART』に関する顧客紹介契約を締結し、NCSのリース契約先等の取引先企業への『DRIVE CHART』の提供を開始した。

関西電力株式会社と当社は、リユース電池を活用した定置型蓄電池事業に係る業務提携契約を締結した。リユース電池を組み合わせ、これまでにない大規模な定置型蓄電池を系統用蓄電池として利用することや、ビルや工場等のお客さまへご提供する予定である。

【スペシャルティ事業分野】

東京ガスエンジニアリングソリューションズ株式会社及び京セラコミュニケーションシステム株式会社と共同で、太陽光発電事業におけるアセットマネジメントサービスとテクニカルマネジメントを提供する共同事業会社「A&Tm株式会社」を設立した。

三菱地所株式会社と当社は、関係権利者の方々と共に開発を進めております東京駅日本橋口前「TOKYO TORCH」街区において、 日本一の高さとなる「Torch Tower」高層部のホテルにウルトララグジュアリーホテル「Dorchester Collection」を誘致することを決定した。ホテルの開業は2028年度を予定している。

【国際事業分野】

伊藤忠商事株式会社、日立建機株式会社及びTCの3社は、日立建機グループが取り扱う北米における建設機械の販売金融を行うファイナンス合弁会社「ZAXIS Financial Services Americas, LLC」を設立いたしました。3社はこれまでにもタイやインドネシアでファイナンス合弁会社を設立・運営してきた実績があり、これらの経験を生かし、北米におけるファイナンス合弁会社を設立することに合意した。

TCとBank of the Philippine Islands(BPI)の合弁会社であるBPI Century Tokyo Rental Corporation(BPICTR)は、フィリピンにおけるオートビジネスのさ強化を図るため、大手独立系
オートリース会社であるDiamond IGB Inc.(Diamond社)とDiamond社グループの株式の100%取得を前提とした業務提携を締結し、協業を開始した。

事業セグメント別の経常利益およびROAは

国内リース事業分野経常利益 317億円前期比▲22億円
ROA   2.4%同フラット
国内オート事業分野経常利益 280億円 同87億円増
ROA     4.6%同1.5pt増
スペシャルティ事業分野経常利益 574億円同279億円増
ROA   2.3%  同1.0pt増
国際事業分野経常利益  ▲9億円 同▲199億円
ROA   N/AN/A

国際事業分野のアジアにおいて営業投資有価証券の評価損187億円(3銘柄)の計上計上したためにセグメント損失が▲9億円となったが、他の事業分野の収益は堅調に推移した。

 

事業分野ごとの概況は以下の通りであった。

【国内リース事業分野】

売上高は前期比309億円(6%)減少し4,818億円、セグメント利益は22億円(6%)減少し317億円となった。関連会社のNTT・TCリース及び日通リース&ファイナンスの持分法投資利益は増加したものの資産残高減少に伴う単体利益減少などにより減益となった。セグメント資産残高は前期末比677億円(5%)減少し1兆3,120億円となった。リース業界全体のリース取扱高減少に加え、資産効率を重視したポートフォリオ運営の推進などにより残高が減少しているものの、企業の設備投資回復による足元のパイプライン拡大から底打ちを見込んでいる。

 

【国内オート事業分野】

売上高は前期比123億円(4%)増加し3,544億円、セグメント利益は同87億(46%)増加し280億円となった。NCS(日本カーソリューションズ)では好採算案件への資産入替等によるファイナンス収益の拡大、機動的な中古車売却オペレーションによるリース満了車両の売却益最大化等により、過去最高益を更新した。NRSでは(ニッポンレンタカーサービス)では需要が回復する中、コロナ下において取り組んできたコストコントロール強化および直売比率向上施策等による高効率運営を推進し、利益率が大幅に改善し過去最高益を更新した。

 

【スペシャルティ事業分野】

売上高は前期比372億円(12%)増加し3,443億円、セグメント利益は279億(95%)増加し574億円となった。ACGの航空機事業は通常の減損(ロシア関連は特別損失に計上)が減少したことなどにより増益となった。船舶事業は持分法適用関連会社の売船収益増加などにより増益となった。不動産事業は売却益増加などにより増益であった。その他事業では営業投資有価証券の売却益増加などにより増益した。

 

【国際事業分野】

売上高は前期比282億円(24%)増加し1,450億円、セグメント損失は9億円(前期比199億円の利益減少)となった。アジアでは営業投資有価証券(3銘柄)の評価損を187億円計上した。米州、欧州ではCSIのFMVリース(リース期間終了後に顧客が物件返却、買取、リース延⻑等オプションを選択し、その際の取引価格を公正市場価格にて決定する柔軟性に富んだリース契約)に係る物件売却収益などが堅調に推移した。セグメント資産産残高は為替変動を主因に前期末比986円(18%)増加し6,557億円となった。
 

東京センチュリー:2024年3月期予想

経常利益1,100億円前期比3.6%増
当期利益700億円同14.6倍
EPS571.89円前期EPS38.95円
一株当たり配当金200円(中間配当100円、期末配当100円)前期配当143円

今期は当期純利益が700億円と最高益を更新する予定である。前期に計上した損失の剥落などもあり、全ての事業分野において増益を見込んでいる。なお、今期から事業セグメント区分を環境インフラ事業分野の新設により、4セグメントから5セグメントに変更する。

 

アナリストによる投資判断

前期はロシア関連の特別損失を748億円計上した事により大幅な減益決算であったが、今期は全事業セグメントにおいて増益を見込んでおり、最高益更新の予定である。NTTグループとの協業、三菱地所との協業等を中心として大手企業との協業が順調に進捗しており、中長期的な高い利益成長が見込まれる。